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ハリソンズから製作依頼が(ブログ再開します!!)

2026年10月08日

皆さんこんにちは、MICHELE & SHINです。
お久しぶりです。

以前はこのブログを通して、工場での服作りや新しい商品開発、イタリアでの日々など、MICHELE & SHINが普段どんなことをして、何を考えながら服を作っているのかを頻繁にお伝えしていました。

ただ、ここ数年はありがたいことに海外のお客様も増え、イタリアをはじめ海外での仕事や新しい企画、商品開発などに追われ、なかなかブログを更新することができていませんでした。

もちろん、その間も服作りを止めていたわけではありません。

工場では毎日のように新しいことに挑戦し、イタリアにも足を運びながら、さまざまな商品開発を続けています。うまくいくこともあれば、当然うまくいかないこともあります。作って、試して、失敗して、また作り直す。その繰り返しです。

むしろ、以前よりもずっと多くのことに挑戦しているかもしれません。

そんな中、ありがたいことに多くのお客様から、

「またブログをやってほしい」
「最近のMICHELE & SHINが何をやっているのか見たい」
「イタリアでどんなことをしているのか、以前のようにもっと見せてほしい」

という声をいただくようになりました。

私たちとしても、完成した洋服だけではなく、その一着が出来上がるまでに何を考え、何を試し、どんな失敗をして、どうやって完成までたどり着いたのか。そういう普段はなかなか見えない部分も含めてお伝えすることが、MICHELE & SHINというブランドを知っていただくうえで大切なことだと思っています。

少しサボってしまいましたが、これからは以前のように、MICHELE & SHINの日々の服作りや工場での出来事、新しい挑戦などを、できるだけタイムリーにこのブログでお伝えしていきたいと思います。

ぜひ、これからのブログにも期待していただければと思います。

さて、久しぶりのブログで何を書こうかと考えましたが、今回は私たちにとって非常に嬉しく、そして服作りの面でも面白い経験になった話から始めたいと思います。


HARRISONS OF EDINBURGHから製作依頼が

PITTI UOMO 110に向けて、HARRISONS OF EDINBURGH(ハリソンズ・オブ・エディンバラ)からスーツ製作の依頼がありました。今回はその製作過程を書きたいと思います。

今回の製作依頼が舞い込んできたのが2025年9月でした。MICHELE & SHINの顧客であり、モデルでもあるスコットランドに住むSaban Aliから一本の連絡があり、「ハリソンズ・オブ・エディンバラからの依頼で、PITTI UOMO 110に合わせてMICHELE & SHINでスーツを製作してほしいと連絡があったんだ。製作してくれるかな?デザインはMICHELEで好きにやっていいって言ってる。良ければ布生地を直接イギリスから送るから」と。

ハリソンズがどこでMICHELE & SHINを知っていただいたのかは不明ですが、イギリスの老舗服地メーカーから依頼があるのはとても光栄なことです。納期はあまりありませんが、受けることにしました。


ここで少しハリソンズの説明を

HARRISONS OF EDINBURGH(ハリソンズ・オブ・エディンバラ)は、イギリスの老舗名門服地卸商で、「最高の原毛のみが最高級の服地を作り上げる」という哲学のもと織り上げる布生地は、特にハリとコシが強いことで有名です。ロンドンのサヴィル・ロウなどの高級テーラーから絶対的な信頼を得ていることでも、その名を知られています。

真紅の表紙に大きく「H」と入ったバンチブックは、イタリアでもこだわったサルトリアの棚には必ずと言っていいくらい置かれていて、よく目にします。

折りたたむ

もしMICHELE & SHINに、今までの経験の中からウール素材でハリ・コシの素晴らしいイギリスの布生地メーカーを3つ挙げてほしいと言われたら、ハリソンズ、フォックスブラザーズ、MOONを挙げると思います。

他にもたくさんのメーカーがありますが、イギリスらしいウールのハリ・コシなら間違いないのがこの3つです。


ちょうど良かった

ちょうど良かったのが、今回のをSaban Ali用に作るということです。AliはMICHELE&SHINの顧客の中でも1,2を争う服好きであり、探究心旺盛な男。そして今までもデザインを含め、MICHELE & SHINの実験的な服作りにとても協力してくれています。

MICHELE & SHINは、今あるスーツをただ作り続けるのではなく、常にその先を考えています。

どうすれば、今よりもっと美しいスーツになるのか。
どうすれば、今よりもっと着心地の良いスーツになるのか。
そして、どうすれば着る人の心を揺さぶる一着を作ることができるのか。

そのために、デザインやシルエットはもちろん、表からは見えない素材や構造まで研究し、試作と検証を繰り返しながら、私たちのスーツを常に進化させています。

今回Aliからハリソンズの話をもらったとき、ちょうど私たちはスーツの着心地をさらに進化させるため、新しい芯材の開発を進めているところでした。

柔らかさや厚み、素材の組み合わせを変えながら試行錯誤を重ね、ちょうど3種類の芯材が出来上がっていました。

No.1
No.1
No.2
No.2
No.3
No.3

写真で見ると全部同じに見えると思いますが、一番上が最も硬く張りと厚みがあり、真ん中が中間の硬さで、一番下が最柔らかく薄い芯材です。柔らかさと厚みを試行錯誤しながら3種類の芯材が完成してきました。


そこでAliに、「今、新しい芯材を何種類か作っている。このハリソンズの生地を使って、それぞれの芯材で実際にスーツを作り、どの組み合わせが一番良いのか試してみてもいいかな?」と相談しました。

するとAliは、「良いね。ぜひそれでやってみよう」と、今回も快く賛成してくれました。

これは私たちにとって、とても良い機会でした。

イタリアの布生地では、ハリソンズのようにここまで強いハリとコシを持つものは、それほど多くありません。

だからこそ、今回送られてきた3種類の布生地と、私たちが新しく開発した3種類の芯材を組み合わせて実際にスーツを作ってみることで、布生地と芯材の関係をより深く検証できる。そして、その結果から、今後MICHELE & SHINが目指すスーツにとっての「芯材の最適解」が見つかるのではないかと考えました。




芯材について教えてもらっている最中です。

ここでテーラードの芯材を説明させてください。芯材とは、テーラードの洋服の土台だと思ってください。スーツやジャケット、コートには必ず芯材が入り、その芯の上に布生地が乗っているというイメージで良いと思います。

ジャケットやコートは、布生地を縫っただけでは服になりません。今ではデザイナーやメーカーの美意識で、「アンコン」と呼ばれる芯材を極力減らし、接着芯を多用して軽さを追求した服もありますが、MICHELE & SHINの美意識にはどうしても馴染みません。

どんなものでも土台が大切です。土台(基礎)をしっかりと作らず、表面だけ飾っても本質の美しさは表現できないと思っています。

私たちのテーラードでいう本質の美しさとは、デザインディテール、シルエット、そして着心地になるのではないでしょうか。そのすべての土台が芯材になるのですから、作るのにも力が入ります。

テーラードの芯材は、基本的にこの4枚、4つの素材で成り立っています。

①馬のたてがみ②リネン③コットン④ウール

馬のたてがみ
馬のたてがみ
リネン
リネン
コットン,ウール
コットン,ウール

写真にも書いていますが、各素材を極限まで薄くして製作できるか? 素材の組み合わせをどこまで変えることができるか? 試行錯誤を重ね、MICHELE & SHINが求める、軽く羽織れるカーディガンのような着心地を追求します。

芯材をばらして組み立て、何度も芯材屋の親父さんのところに足を運びます。

「こんなの出来たんだけど、どうかな?」と聞くと、「そんなのは芯材じゃないだろ」と怒られ、また持っていくと、「だからお前はどんなのを求めてるんだ?」と怒られます。

最高の時間です。

今までの既成概念を取り払い、どんな組み合わせで、どんな素材で作るのが良いのかをひたすら追い求めます。モノ作りは最後は執念のような気がします。

そこで完成した3種類の芯材です。


ハリソンズから送られてきた布生地です


今回、ハリソンズから送られてきた布生地はこの3種類。

リネンウール
リネンウール
リネンウール
リネンウール


MERSOLAIRのリネンモヘヤが2つ

MERSOLAIRのリネンモヘヤ
MERSOLAIRのリネンモヘヤ
MERSOLAIRのリネンモヘヤ
MERSOLAIRのリネンモヘヤ
MERSOLAIRのリネンモヘヤ
MERSOLAIRのリネンモヘヤ
MERSOLAIRのリネンモヘヤ
MERSOLAIRのリネンモヘヤ

どれも本当に素晴らしい布生地です。

ここで、どの布地にどの芯材を使うかで悩みます。

まず圧倒的にハリがあるのがMERSOLAIRです。さすがモヘヤが入るとハリが出ます。この2つのMERSOLAIRには、今回作った最も柔らかい芯材を使うことにします。

重さを比べると、確実に芯材より布生地の方が重く、柔らかい仕様になります。普通だと、芯材をある程度しっかりさせた方が見栄えはすると言われます。ただ、そうすると本当に重いだけのスーツになりそうです。

私が求めるのは、これだけ厚くハリがあっても、柔らかくカーディガンのような着心地です。

同じ布生地を使い、違う芯材を使うことで、どこまで着心地に違いが出るか楽しみです。


試行錯誤の末、完成したスーツ

MERSOLAIRで作った、最も軽く薄い芯材で製作した作品です。

MERSOLAIR
MERSOLAIR

リネンウールで製作した、2番目に薄く柔らかい芯材を使った作品です。

リネンウール
リネンウール

最後に、最も厚く硬い芯材で製作した作品です。

MERSOLAIR
MERSOLAIR


製作してみて

製作してみて、私の感覚に最も合ったのが、一番薄い芯材で製作したスーツでした。

まず、当然と言えば当然ですが、スーツ全体の柔らかさが最も出ます。さらに、デザインディテールが崩れません。ハリソンズ本来のハリの質感も、最も引き出せたのではないかと思います。

次に良かったのが、2番目に薄い芯材でした。

その中で最も合わなかったのが、厚い芯材です。

実際に着心地をAliにも聞きましたが、やはり薄い芯材が一番着心地がしっくりくると言ってくれました。

今回の芯材を作るにあたり、事前にイタリア産の薄手や厚手のウール素材ではかなりの数を製作しましたが、今回分かったのが、MICHELE & SHINの服には厚い芯材は必要ないということでした。

芯材で洋服は本当に変わるということが、身に染みて分かった今回でした。

さらなる着心地を求めて、試行錯誤を重ねたいと思います。

最後に今回、素晴らしい布生地を提供してくださったハリソンズ様、本当にありがとうございました。

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