無難を嫌って、この出来映え最高です。
無難を嫌って作ったスーツがこのホワイトベージュのコットンリネンスーツ、出来栄え最高のカッコよさです。
今回のブログはこのカッコ良いスーツを作った御客様がなぜ無難を嫌ったのかを、御客様とのやり取りを中心に少し紹介し、お話出来ればと思います。
無難で逃げるはテーラーの恥。
この御客様が初めて来店されたのは去年の寒い頃。お話を聞くと、本当に長い長い念願であったイタリアの高級スポーツカー購入されたそうで、納車が近く、子供の頃からの夢だった事もあり、そのスポーツカーの納車に、出来たらカッコいい服で行きたい、との事でした。「メチャクチャ頑張ったのよ~」と、この御客様はどこか憎めない可愛らしさが溢れてます。
納車に着て行きたい服を作るなんてメチャクチャ良いじゃないですか?そんなのをMICHELE&shinは大好きです。と言う事でオーダーは始まりました。
そこでまず出たお話が「実はここに来る前に、他のテーラでオーダーを1着したんだよね。」、そこが「形はこれが無難ですよ、これの方が長く着れますよ。無難にしてた方が安心ですよ。」のオンパレードだったらしく、後日出来上がったスーツが、まさに無難なビジネスの匂いのするスーツだったらしいのです。
御客様は子供の頃からの夢の実現に着て行きたい服を作りたいのに、取引先に謝りに行く服が出来てきたらしいのです。
いつからでしょう?日本のテーラーが無難なビジネススーツばっかりを作り出したのは?スーツは決して作業着ではありません。スーツは男を最高にカッコよく見せる服なのです。
人のふり見て我がふり直せです。反省反省。
無難を捨ててからこの服作りが始まった。
「分かりました。任せて下さい、最高のを作りましょう」と始まったこの服作り、まずデザインです。当然MICHELE&shinと言えばダブルブレストをオススメします。「ダブルブレストで行きましょう!!」「え・・・ダブル?、、ダブルは着た事ないんだけど、昔のオッサンみたいにならない?」「いいえ、MICHELE&shinのダブルブレストは間違い無いです。」と半ば押し切り、布生地へ。
今回の車は白色にしたらしく、せっかくなら赤のスーツもどうかなと思ったのですが、チョット怒られそうなので、やめて、このホワイトグレーのリネンコットンの布生地をオススメしました。
「凄いの勧めてくるね~」「これ派手じゃ無い?」と。しかし、ウール素材ならイメージが違いますが、白のあの車にこのホワイトグレーのリネンコットン素材なら、いやらしさより、さり気ない上品さが勝ちます。間違いない選択でした。
そんなイケてるコットンリネンスーツを少し写真で。
ホワイトグレーのコットンリネンのスーツです。ダブルブレスト、大きく横に張り出しラペルデザインが特徴的です。
ゴージ幅は12㎝、ゴージラインは7㎝ ストレートカットでデザインしました。
コットンリネンの素材感が分かって貰えると良いのですが?
ポケットフラップは6㎝がMICHELE&shinのサルトリアスタイル。
マニカマッピーナの肩付けにしてますが、素材の厚みと固さでこれぐらいになりました。もう少しギャザリングをしたいところですが、これが限界です。
袖口は本切羽4つボタン、当然ボタンホールは手縫いです。
今回は無難を排除して作った最高にカッコいいスーツの紹介でした。
実はこの話には後日談があって、このスーツをお渡しした日の事、「車は予定通りの納車日ですか?」と聞いたところ、「じつは予定より早まって、もう納車しちゃったんだよねー。」と
良いオヤジです。
今、この御客様はコートを作ってます。これも良い味のコートです。機会があればまた紹介します。