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今は無き幻の布生地、トリプルデルタのスーツが完成しました。

2023年01月31日

数年前、イタリアナポリでビンテージ生地を探してた時の事です。この時すでにイタリアではビンテージ布生地が大きなブームとなっており、MICHELE&shinが探した時には、すでに遅し・・・イタリア中、いや世界中のテーラーがこぞって質の良いビンテージの布生地を買いあさった後でした。そんな中、布生地屋や問屋に聞いてると、「ギリシャにもしかしたら珍しいのがあるかもよ?」との情報を聞きつけました。

聞いたら直ぐに現場に行くのがMICHELE&shin。ギリシャはイタリアからだと物凄く近い存在です。同じEU圏であるし、飛行機も安い。そこでギリシャのアテネまで行って、布生地を探すことに。そこで見つけたのが、この今はなきギリシャのミル「トリプルデルタ」の布生地でした。


アテネには沢山の布生地屋があった。

ギリシャのアテネに入ったのが、1月中旬でした。ギリシャって暖かいのかと思いきや、結構寒い。みんなダウンを着てます。そんな寒い中、布生地屋を探します。今は本当に便利です、まずGoogleMapに布生地屋と入れると、アテネだけでけっこう出ます。

そんな沢山の布生地屋を回り、たどり着いたのがこの布生地屋。

そこで、人の良さそうな夫婦に「ビンテージの珍しい布生地を探してるんだけど何かないかな?」と尋ねると、「地下にあるよ」と出してくれたのがこのトリプルデルタの布生地でした。


全く聞いたことのないブランドです。詳しく聞くと「昔、ギリシャも世界有数のお金持ちだった時代があって、その時に財閥のお坊ちゃんが作った会社がこのトリプルデルタで、昔はギリシャで布生地作ってたんだぜ。」との事。

そんな話初めて聞きました。しかし、もうこの布生地は、着分で2つの布生地しか無いとのこと。「もうこれで絶対手に入らないよ。」と、布生地を触ると、まさにビンテージの風合いです。しっかりした厚みと独特な色がたまりません。全部購入です。やっぱり現場に行かないととつくづく実感した瞬間でした。

そんな幻の布生地トリプルデルタで作ったスーツがこれです。

ラペルカットが最高に美しいチェンジポケット、3つボタン段返りのスーツです。ナポリのジャケットに代表される美しいマニカマッピーナの肩付けと、内側に弧を描くラインのラペルが自慢のジャケットです。

張りがある生地なのが分かります。ラペル幅は11cmゴージラインは6cmで。本当に美しい。

バルカポケットと手縫いのダブルステッチがいい味を出しています。

ミラネーゼスタイルのフラワーホール。イタリアのフルオーダーなら外せないディテールです。


パンツはダブルボタンのイン2タックで。当然ベルトレスです。


今回はギリシャで購入した、幻の布生地トリプルデルタのスーツの紹介でした。布生地も良かったですが、ジャケットのデザインディテールが秀逸でした。ぜひご参考に。