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新しい構築的とはこんなスーツ

2023年04月24日

ナポリ肩と並んでMICHELE&shinの代表的な肩付けとも言える、ダブルロープドの肩付け。構築的かつエレガントなシルエットが自慢です。今回の作品はそんな新しい構築的でエレガントなダブルロープドショルダースーツの紹介です。


確か5年前に見たあの肩付けから

初めてこのダブルロープドショルダーを見たのは、確か5年ほど前のPITTIUOMOの会場でした。ひと際目立つ立ち姿は今でも忘れられません。構築的なのに、どこかドレッシーでエレガントなシルエットです。

PITTIUOMO本館会場2階に大きなバルコニーがありますが、そのバルコニーからは会場全体が見渡せる配置にあり、せわしいスナップの撮影や、商談に疲れた紳士が、ここで休憩です。

写真はMICHELE &shinのモデルDIPOとChristianaですが、ここがPITTIUOMOのバッソ要塞の本館2階のバルコニーです


バルコニーの手摺りに寄りかかり、楽しそうに仲間と話してる彼の姿はダンディーとしか言いようがありません。その時に見た肩付けのスーツが、このダブルロープドショルダーが初対面でした。

「チャオ、このスーツエレガントですね。」と話し掛けると、カメラを持って私を見て、「どこのマスコミのカメラ?」と聞いてきます。実はその頃は、写真の撮影が楽しくなってた時期で、会場に来てる世界中のファッショニスタの、美しいスーツやジャケットの撮影に一生懸命で、スーツは着ず、いかにもカメラマンみたいな動き易さを優先したジーンズにトレーナーの様な恰好で、会場をウロウロしてた私を見てそう言ったのでしょう。

「カメラマンじゃ無いんですよ。ジャパンでテーラーをやってて」と話し、「しかしその肩付け素晴らしですね!」と言うと。「この肩付け良いでしょう。自分もベルギーでテーラーをやってるんですが、この肩付けは私のオリジナルでダブルロープドショルダーって言うんですよ」と。かなり自慢な作りの様で、色々と説明をしてくれます。

「この肩付けの基本はまずパッティングで構築的に見せない事、パットは入れず、肩先の綿と手縫いのギャザリングだけで作るんですよ。」なんてちょっと専門的な感じで熱く語ってくれます。

しかし世界は広いです、まさかベルギーに、こんな素晴らしい才能とセンスを持った才能がいるなんて。ちょっと反省です。あの時期は自分の中に、どこかイタリアが最高のスーツを作るなんて、勝手に思いあがってました。世界は広く、素晴らしいスーツはまだまだありそうです。

その後、ナポリの工房に帰り、現地で撮った写真を見せ、「こんな肩付けを試作したいんだけど」と頼むと、「こんな変な肩付け出来ないぜ、そんな肩付け作るんだったら、フランスにでも行けよ」・・・・と。

いつものナポリスーツに最高の自信を持ってるナポリ職人の口の悪さです。・・・そんな事言わず、試作しようよ~。

その後度重なる説得と私自慢の肩揉みマッサージの影響で、やっとこの肩付けの試作に。しかし新しい試みは時間かかります。でもま~ここまで構築的でエレガント、更にドレッシーなシルエットが出来たのです。良かった。良かった。


ここからはそんな、構築的でエレガント、そしてドレッシーな作品を写真で紹介します。


MICHELE&shin自慢のダブルロープドショルダーのダブルブレスト下掛けのジャケットです。構築的でエレガントです。


わざとギャザリングを入れて肩を作ります。布生地本来のドレープ感を生かすのがこの肩付けの難しいところ。

ラペル幅は12cmのワイドラペルで直線的なカットでデザインしました。

手縫いのダブルステッチワークはナポリスーツの特徴です。無断は同色であまり目立たないですが、手縫いのステッチは特に、光の角度などでチラッっと見えた時の高級感がたまりません。


アウトパッチポケットもこんなバルカで弧を描くラインにするとここまでエレガントになります。MICHELE&shin自慢の形です。

イギリスの構築的とはチョット違うナポリの構築スーツです。

ぜひ参考にして下さい。