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初めての試み 画家・鈴木一世との個展開催

2025年05月14日

MICHELE&SHINとして初めての試みとなる、画家との合作による企画個展を開催することとなりました。今回のブログでは、この企画個展に至った経緯について、少しお話ししたいと思います。


出会いはMICHELE&SHINの店舗で

彼との出会いは、MICHELE&SHINの店舗でした。もともとはスタッフの知人であり、「画家の友人がいて、最近所属事務所が変わったことで海外での活動が増え、スーツが必要になる場面が増えてきたので、スーツを仕立てたい」との話がきっかけでした。

画家にスーツが必要だなんて、あまりイメージが湧きません。どちらかというと、ラフで自由な服装を好むイメージがあり、スーツとはかけ離れた存在に感じます。しかし、海外での活動では、どうしても必要な場面があるようです。

予約を入れ、来店当日。驚きました。若い。勝手に「活躍している画家」と聞いて、年配の方を想像していたのですが、見た目は明らかに若く、実際に聞いてみるとまだ24歳とのこと。才能があるというのは本当に羨ましい限りです。

オーダーを受けながら、私たちの服作りの基本概念や、なぜイタリアにこだわるのか、なぜ自社生産にこだわるのかなど、MICHELE&SHINの考えをお伝えしました。そして彼からも、芸術創作活動の源泉について、さまざまな話を聞かせてもらいました。

「作るものは違っても、創作活動の楽しさと苦悩」という共通点があり、それについて語り合った、静かだけれども熱く白熱したあの時間を、今でも鮮明に思い出します。


「いつか何か一緒にできたらいいね」

そんな話の中で、彼がふと「今日は本当に勉強になりました。今度、何か面白いことができたらいいですね」と言ってくれました。
私も「そうだね、いつかMICHELE&SHINと一世くんの作品をコラボレーションしようよ」と提案しました。

この時点では、まだ具体的なことは何も決まっていません。でも、何か新しいものが生まれそうな予感がありました。この"新しいものが生まれそうな感覚"は、MICHELE&SHINがイタリア中を車で回り、新しい布地を発見したり、新しいデザインのあるサルトリアに出会うときの感覚にとてもよく似ています。

彼もその話に共感してくれて、今回のコラボレーション企画がスタートしました。


アトリエ訪問とテーマ決定

後日、具体的な打ち合わせのために、彼の制作場所であるアトリエを訪ねました。
ここで、彼の作品の基本的なコンセプトを詳しく聞くことができました。

彼の創作の軸は「視覚言語」——つまり、「絵は言語である」という考え方です。
彼いわく、「現代の空気感や人々の感情を、視覚に訴える形で表現している。一つひとつの作品には、その国ごとに違う言語があるように、視覚という言語として表現している」とのことでした。

——これが"言葉"なのだそうです。強い意志と信念が伝わってきます。

そして今回の個展のテーマが決まりました。

テーマは「混沌と幸せ」

今の時代、情報は瞬時に拡散し、複雑に絡み合い、SNSの急速な普及によって、どこか息苦しさを感じながら生活している人が多いように思います。

その「混沌」を彼が表現し、そしてMICHELE&SHINの服作りの基本概念のひとつである「幸せ」をぶつけることで、現代を生きる人々の「混沌と幸せ」の姿を少しでも表現できるのではないか。そう考え、このテーマに決定しました。

このテーマのもと、アイデアを持ち寄り、制作がスタート。そして完成が近づいたということで、再びアトリエへ。

制作現場と想い

イメージ通りです。今回のテーマである「現代の混沌と幸せ」の姿を表現できる作品に仕上がりました。

今回、面白い話も聞きました。以前、UNIQLOやH&Mなどの大手からコラボレーションのオファーがあったそうなのですが、「大量消費されることが自分の信念に合わない」との理由で、すべて断ったとのこと。でも、「UNIQLOはやっても良かったかな?」と、少し笑いながら話していました。


少し長くなってしまったので、次回のブログでは今回の個展時にMICHELE &SHIN店舗で披露する予定の、これまでに少しずつ世界中から集めてきた特別な布地についてご紹介したいと思います。

MICHELE&SHIN × 一世鈴木の個展、ぜひ楽しみにしていてください。

皆様のご来場お待ちしております。


MICHELE&SHIN × 一世鈴木

日時:2025年5月18日(日)11:00〜18:00
場所:東京都中央区銀座1-5-13 3階
MODERNS GINZA