ハダースフィールド社からスペシャルゲストでの作成依頼
Pitti Uomoのこの時期、フィレンツェの街全体がファッション一色に染まります。

この時期、世界中の紳士ブランドたちは、来場者を楽しませるためにフィレンツェ市内でさまざまなイベントを開催します。多くはパーティー形式で、新商品や新作の発表を行います。来場者にはいくつかのパーティーの招待状が届き、こうしたイベントでの出会いもまた、Pitti Uomoの大きな楽しみのひとつです。
そんなPitti Uomoのアフターパーティーの中で、今回MICHELE & SHINにとって大変光栄なことがありました。
イギリスの老舗生地メーカー「ハダースフィールド社」が開催するパーティーで、展示用スーツの製作依頼が舞い込んだのです。
今回は、そのハダースフィールド社による「Pitti Uomo 108 アフターパーティー」の様子を少しだけお届けします。
ハダースフィールド社とは?

ハダースフィールド社とは、イギリス・ウエストヨークシャーにある同名の街の名を社名とする老舗生地メーカーです。
1851年、ロンドン郊外のクリスタルパレスで開催された展示会で最優秀賞を受賞したという記録が残るほど、まさに"老舗中の老舗"と呼べるブランドです。
ちなみに、ウエストヨークシャーはラグビー発祥の地でもあり、世界三大毛織物産地のひとつとしても名を馳せています。
ハダースフィールド社の生地は、イギリス生地特有の「張り」と「厚み」が特徴で、構築的なスーツを仕立てるには最適とされ、「構築ならハダースフィールド」とも言われるブランドです。
1851年からの記録があるということは、約200年近い歴史。まさに"素晴らしい"のひと言に尽きます。
突然届いた一通のダイレクトメッセージ
そんなハダースフィールド社から、ある日突然一通のダイレクトメッセージが届きました。
「こんにちは。私たちは"ハダースフィールド"というイギリスの生地メーカーです。次回開催される Pitti Uomo 108 のアフターパーティーで、あなたのスーツを展示したく、ご連絡しました。
あなたが仕立てるスーツを、私たちの友人である Saban Ali がいつも着ているのを見て、ぜひお願いしたいと思いました。」
この"Saban Ali"は、MICHELEの顧客であり、スコットランドに住む友人でもあります。
どうやら、彼を通じて私たちの存在を知ったようです。
とても嬉しいお話でした。
すぐにイギリスから4種の生地を送ってもらい、製作に取り掛かることに。
イギリスの伝統とMICHELE & SHINの個性の融合
今回、ハダースフィールド社との打ち合わせを重ねる中で決めたデザインコンセプトは、
**「構築的な中に、ナポリの柔らかさを表現する」**というものでした。
そのコンセプトを象徴するディテールとして採用したのが、MICHELE & SHINが得意とする"ダブルロープド"の肩付けです。
実は、今回の Pitti Uomo 108 に出展した他のスーツでも、この肩付けを多く取り入れていたのですが、会場でそれを見たイタリア紳士たちが口々にこう言いました。
「この肩付けは"マニカマッピーナ"だね。パッドが入っていないのがわかるし、しっかりギャザーが入ってる。初めて見る肩だけど、僕たちはこれを"マニカ"と呼ぶんだよ。」
そこで私たちは、今後この独自の肩付けを**「マニカ・ロープド」**と呼ぶことにしました。
完成したスーツを紹介します
完成した4着のスーツがこちらです。







構築的な英国スタイルの中に、ナポリらしい柔らかさが感じられる仕上がりになったと思います。
イメージ通りの作品に仕上がりました。
ここからは、ハダースフィールド社が主催したアフターパーティーの様子を、写真で少しご紹介します。























どうしても気になってしまうのは、新しい生地のこと。
とにかく魅力的で、目移りしてしまうパーティーでした。
今回は「Pitti Uomo 108 ハダースフィールドのパーティー」のブログでした。
少しでもその雰囲気が伝われば嬉しいです。