研ぎ澄まされた、シングルとはこれを言う
研ぎ澄まされシェイプを見せるMICHELE&shin自慢のこのラペルカット。シャープに美しく貴方を演出します。今回はそんな「内側に弧を描く美しシェイプカットラインのスーツ」を紹介します。
ラペルはスーツの顔
スーツの表情を決めるデザインの一つに、このラペルがあります。昔からこのラペルをイタリア職人はスーツの顔と呼び、まずスーツ自体のイメージを決める部品であることで、様々なラペルを生み出して来ました。最もベーシックなストレートラインのカットから、ナポリ職人が大好きな、ベリードラインと呼ばれる、外に弧を描くラペルカット。それにノッチラペルかピークドラペルか、ゴージラインの高さ、ラペルの幅。この組み合わせですから、無限のラペルが出来上がります。本当に人の顔ぐらい多種多様なラペルが出来上がるのです。
それ程スーツの見た目を決めるカットは仮縫いで決める
スーツの顔と言われるぐらい大切なラペルデザインとカット。なのでMICHELE&shinは必ず、仮縫い時にこのラペルカットを決めていきます。悲しいかな、こんなに大切なラペルカットなのに、なぜか日本は、外注の工場任せだったり、職人任せだったりします。サルトリアのメジャーマン(メジャーマンとは御客様と打合せをし、どんなスーツやコートが良いかをデザインし提案打合せ、サイズを測り、このサイズとこのデザインで作成をするのを職人に伝える、職業を言います)が、どういう分けか、ただの取次屋になってしまってきました。メジャーマンはサイズを決めるだけではなく、デザインをし提案をしないと、本当にカッコイイスーツやコートは出来ないとMICHELE&shinでは思ってます。
特に仮縫いは、サイズや着心地を決めるだけでなく、デザインを決めるのです。
この様に、仮縫い時にラペルカットを御客様に着てもらって、直接引いていきます。ラペルはスーツの顔です。御客様によってこのライン形は変えていきます。そうしないとイケてるナポリスーツは完成しません。それぐらいラペルはスーツ自体を決める大切なものなのです。
イタリア職人からの提案で出来たこのカット
この内側に弧を描くラインのラペルカットは、MICHELE&shinの職人の提案から始まりました。ちょっと前のブログにも書きましたが、イタリアでは「物作りはクリエイティブ」でないと、認められない文化が確実に存在します。
当初、そのイタリア人が言うクリエイティブが理解出来ず、奇抜な布生地やデザインに逃げてました。そんな中、「何か他とは違うデザインないかな?」と職人に聞くと、暫くしてこのデザインが上がって来たのです。衝撃でした。なんて美しいデザインなんだと。
流石イタリア職人は分かっています。美しとは何か。スーツのクリエイティブとは何か。あんな美し街並みを普段から見、そしてアートに普段から触れる事が本当に大切だと感じた瞬間でした。
ナポリのキアイア地区を上から見た所です。
ナポリのガレリアです。
ローマの街並みです。
これも多分ローマだったと思います。
こんな場所で毎日通勤し、エスプレッソを飲んで、ピザを食べてます。そりゃあ美しい物が出来ます。
試行錯誤の連続が楽しかった。
しかし、この内側に弧を描くラインのラペルカットがきちっと出来る迄には、かなりの試行錯誤の期間がありました。それぐらいこのラインは本当に難しいのです。しかし、新しいデザインを作りあげてく過程は楽しいの一言です。何回もの試行錯誤し、「この長さだったらこのラインで、この幅だったらこの曲線か」とこの美しラインの出し方が理解出来、御客様に着せた姿を想像した時のニヤけた顔を今だに思い出します。
さてここからは写真で作品を紹介します。
内側に弧を描くラインのラペルカットが美しいネイビースーツです。
このラペルカットが自慢です。
アウトパッチポケットのデザインです。ここも弧を描きます。
上衿の吸い付きが分かります。マニカマッピーナの肩付けも美しい。
4つボタンホール本切羽の袖口です。当然手縫いのボタンホールに拘ります。
今回は内側に弧を描くラインのラペルカットが美しいネイビースーツの紹介でした。
是非参考にして下さい。
しかし、美しい。