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本物のクラシックナポリへの道(3)

2024年06月07日

本物のクラッシックナポリへの道(3)

ダブルブレストは 4 つボタン 

今回のブログは、クラシックナポリのダブルブレストデザインについての話です。最近でこそ、ここ銀座でもダブルブレストのスーツを着ている紳士を見かける様になりましたが、ほとんどは、6 ボタン中4つ掛けのデザインです。MICHELE&shin が作っているダブルブレストも同様で、このデザインを多用します。「何故なの?」と聞かれると、明確には答えられませんが、おぼろげに言えたのが「ボタン位置が高く目線が上に行く事と、ウエスト位置が高く見え、シルエット上、日本人にはありがたい脚長効果がありスタイルがよく見える。」それと「クラッシックナポリのダブルブレストのスタイル。」と思い込んでいたからでした。

しかし本当のクラッシックナポリスーツのダブルブレストのスタイルはどうも「4 つボタン」らしいのです。

ここの一番右に写ってるオヤジさんですが、今イタリの紳士服の中で最も影響力のある人物の 1 人です。

昔からの知りあいだったのですが、普通の近所のオヤジかと思っていました。

しかし今回聞いてびっくりです。

実は、毎年 1 月に日本から、職人や近所の人に日本の神社の御守りを買って行きます。

その御守がこれです。

裏側が写って無いのですが、金毘羅宮の御守りで裏には大きく金と書いてます。本当は金毘羅宮の金でしようが、「この御守りはお金持ちになる御守りだ」と適当な通訳をアイフォンで見せて納得させて渡します。悪い日本人です。日本人もイタリア人もみんなお金は好きで、この御守りを毎年の恒例行事として、みんな楽しみにしてます。初めは職人にだけ渡していたのですが、何故か最近は近所の人まで取りに来るしまつで、「チャオ、ミケーレ・・・元気かい?」なんて理由も無いのにこの時期だけ集まってきます。ナポリの田舎ぽくて良いです(笑)。その御守りを毎年取りに来てたのがこのオヤジで、どこか近所のテーラーのオヤジさんかピザ屋のオヤジかと思ってたのですが、「いつもこのオヤジ来はてるけど誰?」と聞くと「ミケーレ・・・知らなかったのか、マジか?この人は今、イタリアの紳士服業界では最も影響力のある中 1 人だよ。今はナポリにあるサルトリア学校の校長先生をしてるけど、そうそうたるブランドのデザインをして来て、マスターカッターをしたのが彼なんだよ。最近で、日本人が知ってるブランドだとブルネロクチネリのフル毛芯のスーツやジャケットは彼が教えて作ったし、彼に教えてもらい、作って欲しいブランドは本当に沢山あるんだ。今はナポリのサルトリア文化の為に今はサルトリア学校で校長先生をしてナポリスーツの伝統を教えてる。表には出る事はないけど本当に凄い人のなんだぜ。」と。恥ずかしい話、ナポリにサルトリアの学校があることさえ知りませんでした。そんな彼に「凄い人なんだね?」と聞くと「ハハハ」と言いながら携帯を出して何か探してます。そしておもむろに「これブルネルクチネリ本人の携帯番号ね」更に「これトムフォードの携帯番号」と見せてきます。そんなの見せて良い?とこのざっくりした感じがナポリなんです。日本だとまず有り得ない光景です。

そんな彼から「ミケーレ・・・聞いたんだけど、クラッシックナポリを勉強したいんだってな?じゃあ今度学校に来いよ、昔からの物が見えるよ」と。さすが金毘羅宮の御守りの威力抜群です。

話は脱線しましたが、そんなナポリ重鎮が言うのが「本当の昔のナポリスーツのダブルブレストは 4 つボタンだよ、出来たら下掛けが良いけどね」と。知らなかった・・・。

「でもミケーレ・・・気にする事は無いよ。洋服は時代と共に変化するんだ。でも変化して良い物といけない物がある気がする。今度学校でゆっくり話そうぜ。」と。今度時間がある時にサルトリアの学校に行ってこようかとおもいます。

どうもクラッシックナポリのダブルブレストは 4 つボタンで間違いないらしです。

長くなったのでこれぐらいにします。

今回のブログは本当のクラッシックナポリの 3 回目、ダブルブレストデザインの話でした。

次のブログも楽しみにしといて下さい。