ホーランドシェリーの美しいビンテージジャケット
皆さんこんにちは。MICHELE&shinの松本です。
今回は当店の常連さんが持ち込まれたholland&sherry(ホーランドシェリー)のビンテージ生地を使ってお仕立てした、ビスポークジャケットが仕上がったので紹介します。
4か月程前いつもの常連さんがなにやら大きな紙袋を持ってご来店。どうしたことだろうと思い紙袋の中を見せていただくと、常連さんの集めている生地がもりだくさん。中には見たことのないミルの生地やビンテージのお宝物まで沢山ありました。
「どれで仕立てようか?今回は ジャケットが作りたいんだよね、この生地とかどうかな?」といわれ出てきたのがこのholland&sherry(ホーランドシェリー)のビンテージ 生地でした。
・holland&sherry(ホーランドシェリー)とはどんなマーチャントなのか?
【1836年ロンドン、ボンドストリートで設立された織物商社(マーチャント)です。創業以来170年以上という世界で最も長い歴史を持つこの英国最大の織物商は、イギリス王室をはじめ、本国イギリスの老舗高級テーラー、パリのオートクチュールハウスや高級衣料メーカーなど、幅広く供給されています。
そんな格式高いホーランドシェリーファブリックでも今回お使いしたのは、80年代のビンテージ。
40年以上も前の布生地の為、クオリティやウェイトは不明です。
厚さは平均的な合物と変わりないものでありながら、目が詰まっていてコシがあります。また単に目が詰まっているだけでなく、その原材料が素晴らしいため、英国的なハードな生地のような重量感がありながら、非常に滑らかで上品な雰囲気のあるジャケットに仕上がりました。
それでは出来上がりのジャケットのご紹介です。
イタリアの打ち込みの緩い綾織りの生地とは違い、それほど厚手ではないにも関わらずしっかりとした重量感があることに気づくでしょう。しかもしなやかで上品な光沢感があり、落ち着いた風合いを持っています。
MICHELE&shinの手縫いとの相性もgoodです。
これぞ仕立て映え。
ラペルは9cmの逆アールでお仕立て。最近この逆アールデザイン人気です。
逆アールラペルは剣先から内側に弧をきながら、自然にフロントカットへとつながります。これは難しく、手ハ刺しを入れることによるラペルの立体感とロールによって作られます。
正面から見るとラペルからロールをしながらフロントカットにつながっているのがよくわかりますね。
手縫いのスーツは襟元を一目見るだけでわかります。ラペルの立体感としなやかさ、ゴージラインの反るような立ち上がり、そしてピターッと吸い付く上衿は、他には真似できないイタリアスーツ職人による手仕事の象徴です。
上衿はもちろん共布の一枚襟。
手縫いのダブルステッチがまた良い雰囲気を出してくれています。打ち込みのしっかりした生地なので、ステッチにもしっかりとしたハリ感が出ますね。
腕元は4つボタン重ね。
胸元は3.5cmのバルカポケット
ポケットはパッチでお仕立て。インパクトの強い胸のバルカポケットに合わせ、パッチ上部も外に大きくラウンドする形に。
こんなに独特な形をしたパッチを作っているのはうちぐらいでしょう。
肩はマニカカミーチャでお仕立て。
holland&sherry(ホーランドシェリー)のビンテージ生地を使ってお仕立てしたビスポークジャケットはいかがでしたか?
皆さんもご自身でお持ちの生地があるのであれば是非MICHELE&shinに持ち込んで、自分だけの一着をお作りされてみてはいかがでしょうか。
それではまた次回のブログをお楽しみに~