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チャップリンの伊吹を吹き込んで。

2021年09月22日

また、イケてるスーツの完成です。

このスーツは、常連のお客様からのオーダーで、今回オーダーにあたり、持ち込まれたのが、「チャーリーチャップリンがスーツを着ている写真」でした。

チャーリーチャップリンが着てるスーツが、味があってたまらないスーツ。写真の古さもあり、クラッシックな存在感のあるスーツで、「スーツはやっぱり良いな」って感じさせる写真でした。そんなスーツで最も特徴的だったのが、「下襟より上衿が大きく外に出てるデザイン」だった事です。

その写真がこちら

男前です。顔ではなくて、見てほしいのが、「襟のデザイン」。

確かに上衿が大きい様に見えます。お客様は「こんなイメージで作りたいんだけど、出来るかな?」と。

実際こんな襟のスーツを作った事は今までにありません。

しかしそこは、仕立て屋のMICHELE&shin。写真で出来てる事が出来ないわけはありません。イタリア職人と打ち合わせを重ね、仮縫いでラペルのデザインをお客様と最終確認、そして出来上がったのが、こんなカッコいいスーツです。

綺麗な襟のデザインに落ち着いたと思います。

上衿が変に主張する事なく、自然に落ち着いてます。一見そこまで、違和感はないでしょう。しかしよく見ると「あれ・・・上衿の方が大きくジャンって」。非常に綺麗にまとまったちょっと違うのスーツの完成です。


ラッフルズの思い出

もう暫く前の話になりますが、シンガポールを旅した時の事です。ホテルをラッフルズホテルに宿泊する事になり、一番安い部屋を予約し、宿泊したのですが。その時にいろんな部屋を見せて貰った覚えがあります。

プレジデントスイートからマリヤカラスがお気に入りだった部屋とか・・・その時、僕を案内してくれてる人からこんな話がありました。「あの中庭の見える、小さな部屋がチャーリーチャップリンがお気に入りで、宿泊される部屋ですよ」と。その部屋はホテル正面を向かって右ウイング側で、僕が泊ってる部屋と同じタイプの部屋。「チャップリンはこの小さなスイートの、庭に直接出れる部屋がお気に入りでした。」と。あんな世界の大スターなのにこんな部屋に宿泊するんだと、思った記憶があります。チャップリンの僕の小さな思い出です。

さて今回のスーツカッコいいので是非見てください。

襟のデザインです。

ゴージ幅は11㎝ ストレートカットのラペルがシャープな印象を与えます。

胸バルカポケットは3.5㎝のNAPOLI仕様。当然フラワーホールはミラネーゼスタイルの手縫いです。

アウトパッチポケットをダブルでデザインしました。

弧を描くパッチポケットとこのダブルポケットの相性は抜群ですね。

柔らかく肩を包み込むマニカマッピーナの肩付け。イタリア職人の腕の見せ所です。

袖は本切羽の3つボタンで。手縫いのボタンホールはオーダーメイドの必須ポイントです。

ウエスマン3.5㎝ ベルトレス、アウトワンタックが主張しすぎない上品さで勝負です。

ピストルのサイドアジャスター、今回はミシンステッチで。

ボタンフライでよりクラッシックな雰囲気を。

チラッと見える、編み込みベルトループがMICHELE&shinのハンドメイドの証です。

今回は「チャーリーチャップリンの写真からイメージした」スーツの紹介でした。