イタリアの愛を感じた瞬間でした。(3)
ナポリの工房に帰ったの3回目のブログです。
久しぶりに、彼らとの拷問食事を終え、この日はホテルでゆっくり。次の朝、少し早めに工房に向かうことに。「チャオ」とほっぺにチュチュとハグをし、足早に工房の中に行こうすると、「ミケーレ、コーヒー何が良い?、いつものカプチーノか?」としかしイタリア人はコーヒー飲み過ぎ、と思いながら、カプチーノを注文すると、隣のbar(日本でのカフェ)に買いに行ってくれます。愛を感じます。
カプチーノ片手に、工房の中に。
いい香りです。ナポリの工房独特の香り。布生地と糸とアイロンの香りです。そんな香りを楽しみながら周りを見渡すと、雑に置かれてるいろんな備品に目がいきます。ぜんぜん整理出来てないな~と思いながら、打合せに入ります。特に3年前と変わらない光景に安心し、昨日ホテルで「何か見せたくない物があるんじゃあないか」なんて、変な勘ぐりして本当にごめんなさい。しかし整理出来てないのが気になります。早く整理整頓したくてうずうずしてきます。でも3年ぶりに来て早速に整理するのも、どこか感じ悪いなーと思い、少ししてからすることに。
効率的にって言った自分に反省しました
テンションが上がってるのが分かる写真です、チョット恥ずかしい。パワハラ社長にいやいや聞いてる社員の感じです。
久しぶりの工房はやっぱり良いです。3年間の空いた時間が一気になくなります。
打合せも終わり、お昼になったので、汚れた工房を整理することに。
備品を整頓し、床に落ちてる切り落とした布生地を拾い、かたずけをしていると、「ミケーレ・・・ちゃんと分かる様にしてくれよ?お前が来て整理すると物がなくなるから。」と、お前たちは小学生か?と思いながら、整理を着実に実行です。
小学生の子供と母親の戦いの様にブツブツ言いながら、かたずけをしていた最中、つい言ってしまった言葉があります。それが「整理整頓してもっと綺麗にしたら、もっと効率的に作れるだろう」でした。あ・・・言っちゃった。絶対に言わないと決めてた言葉を言ってしまいました。
効率的でないところにナポリ服の良さがあるのに。
元々、MICHELE&shinの工房はフィレンツェの隣町、プラートと言う小さな町にありました。そこから、あの味のあるナポリスーツの魔力にやられ、ナポリに移した経緯があります。その服は、効率的とは正反対のゆっくりと作られる、素晴らしきスーツでした。
効率的に作られれる工業製品のスーツとは一線を画す、非効率な工芸品のスーツがナポリのスーツだったのです。なのに効率的に作れる、なんて言ってしまったのです。
3年前までは「時間かかっても、手前かかってもいいから、味のあるいいもの作ろうね。」がみんなの合言葉でした。しかし3年間日本の東京だけで生活をしてると、無意識に「効率的に」が出てきます。この時代、非効率な服があって良いと思います。環境は大切です。3年の置かれる環境で、こんなに僕自身が変わった事に本当に反省しました。でも、かたずけは諦めませんけどどね。
反省した後の僕です。前の写真の悪い顔とチョット違うように見えます。反省反省。
「ごめん、効率的って言ったけど、そうじゃなく、時間かかってもいいから味のある、いいものを作ろうね、ごめんごめん。」と言うと、「分かってるよ、そんなことは」と。本当に小学生と母親の会話みたいでしょう。
ナポリのスーツの、あの味のある、そして人の温かみがあるあの素晴らしいスーツはこの環境と愛から生まれます。デザインとかパタンとかはその次です。作り手が時間に追われ、お客様の顔も分からず機械の様な気持ちで作る服と、職人が楽しく、HAPPYでお客様の事を思い描き作るスーツは全く違います。非効率にそして人の愛にナポリのスーツの秘密があるのです。
MICHELE&shinは今以上に非効率なナポリスーツを作り続ける事の大切さが分かった今回の工房でした。
アントニオ有難う。
ここからは少し工房の写真をどうぞ。
今回は久しぶりに工房に帰ったの3回目のブログでした。
ぜひ愛のある服をどうぞ。